星野道雄さんの「旅をする木」を読みました

今年3冊目の本は「旅をする木」です。5日位に分けて読みました。

3分の1程読んだところで、自然の美しさや厳しさを穏やかな口調でそのままに書(描)かれていてすばらしいと思いました。無駄がなくスッキリとした印象で、余計なことを考える暇がない位、星野さんが体験された、感じられた情景の中に入って行けました。私の知らない世界のことなのにとても分かりやすく不思議な感覚でした。体験記は実はあまり読んだことがなく、知らない世界のこと(専門の分野など)を文章で知ることは難しいのではないかと敬遠していました。

数年前に気になって手に取ったのに買わなかったこの本を、昨年ある方が紹介されていて買うことができました。本当に感謝です。中高どちらだったか、ある国語の先生が‟本は巡り合いだから、気になった時は迷わず買いなさい(読みなさい)、その時読まなければまた探して読むことはなかなかないから”とおっしゃっていましたね。私は本を買う時に、よくその言葉を思い出すのですが、同時に何冊も買う時は、いくつかあきらめることがあるんです。「旅をする木」もあきらめたうちの一つでした。そして国語の先生がおっしゃったように数年間また探して買うことはありませんでした。

とはいえ、本とは巡り合わせですね。ある方の紹介でまた手にすることができました。本当に必要なものごとは、何度かチャンスが巡ってくるのかもしれません。アンテナはって、逃さないようにしたいですね。

「旅をする木」は、主にアラスカでのことが書かれています。私は寒いのが苦手なので、アラスカやロシアなどの地は特に遠い話だと思っていましたが、この本を読んで少し興味がわきました。すごいことです。ただ、行きたいとは思いません。とても厳しい生活です。

しかし、リアルな描写に感動しました。何が大事かというとリアルだということです。星野さんの書く文章は前述したように無駄を感じません。きっととても頭の良い方だったのですね。解説では、読書家だったとありました。納得しました。

私はこの本を読んでいくつかの疑問を解決することができました。その一つがリアルとはどういうことかということです。絵を描くときに写真を見ながら描くことがありますね。手っ取り早く、また構図がとれていればそれをそっくり描くことで形になりますね。しかし、知らない風景を写真を見て描いても私の考えるリアルはそこに存在しません。写真を見て描いた絵になるのです。写真を見て描いた絵を描きたいという場合はリアルかもしれませんが。ですから、リアルとは何を伝えたいかがはっきりしていることなんです。自分が五感を通して感じたもの、考えたことを表現することです。この本を読んでそれをありありと感じました。

芸術家は語るな、つくれというようなことを言った詩人がいましたね。誰だったかな。ドイツの……ゲーテだったかな。違ったらすみません。ということでこの辺で。次の作品は昨年から頭に描いていて決まっているのです。地震の後処理が早く解決して、解放されたいです。

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